スファーナを連れて城の廊下を歩く。
「恥ずかしいか?」
兵達に好奇の目で見られるのに堪えられないのか、うつむいて肩を震わせている。
「何も恥ずかしがることはない、お前は俺のモノなんだから、堂々と歩け。」
何の気休めにもならないことを言いながらどんどん先へと歩く。
大股に歩くとスファーナが遅れるのは、強引に純潔を奪われた痛みのせいなのだろうか。
城に使えていた侍女達がスファーナの姿を見て顔を背ける。
「いい侍女達だな…自分たちだって昨夜は大変だったろうに、お前のことを気遣ってさ。」
皆悔しげに涙を堪えている。
「か、彼女たちまで…!」
自分のことで手一杯で侍女達の運命にまでは頭が回っていなかったのか、今さら詰ってくる。
「ああ、手ごろなご褒美だろう?」
いちいちは説明しない。
「あなたたちは…」
目に涙をいっぱいに溜めてスファーナが睨みつける。
「…まだ、王宮の中だけで済んでるんだ…俺だって完全には押さえられん。」
女王や貴族連中の娘はともかく、それ以外の宮仕えの娘達までひどい目に遭わせるつもりはないが、俺がスファーナを手に入れて嬲りものにしている以上、部下たちを押さえられるものではない。
「…そんな、勝手なことを…!」
スファーナの当然の抗議を聞かないふりをして、扉に手をかける。
「…ついたぞ。」
俺が開けた扉の中を見たスファーナが立ちすくむ。
女王の刻印「姉上…!」
扉の中には全裸のまま猿轡を噛まされたこの国の女王の姿。
その透き通るような純白の肌に刻まれた鮮やかな刻印。
大きく膨らんだ胸には彼女の国の国花であった蓮とそれに突き刺さる短剣。
金色の陰りを失った下腹部にはオスを誘うかのような蝶。
昨夜の凌辱の名残をまだ溢れさせているその様子には、もう高貴な女王の趣はなかった。
妹と敵国の王の姿に気がついたのか、悲しげにかぶりを振る。
「見事なものだな。」
脇に控えていた老爺に声を掛ける。
「はい、とてもよい素材でしたゆえ。」
ほれぼれした様子で自分の作品を刻まれた女を見つめる。
「ふむ、それじゃこちらはどうだ?」
あまりのことに言葉を失っているスファーナを老爺に突きだす。
「…い、いやっ!」
少し暴れるがそのくらいではどうにもならない。
「…これは!…さすがにご姉妹ですな…このじじいめの生涯の終わり近くなって、これほどの肌に続けざまに彫れる日が来ようとは…!」
感極まったような声をあげる老爺。
刺青師として理想的な肌というヤツなのだろうか。
「ははは、スファーナ、誉められてるぞ。」
まさか嬉しいとは思わないだろう。
「や、やめて…」
自分も姉と同じことをされるのだとわかって怯えるスファーナ。
「我慢しろ、姉に我慢できてお前にできないわけがないだろう?」
我ながら勝手な話だ。
「それに、おとなしくしてればすぐ終わるさ。」
老爺が何も言わずうなづく。
「…勝手に、勝手にすればいいじゃないっ!」
もう何を言っても無駄だと悟ったのか、老爺の前に座り込むスファーナ。
「いい娘だ。」
そう言い捨て、俺はレスティナを連れて部屋を出た。


スファーナ姫第17幕 堕ちたる女王
もう別人ですね(笑)
ヘルマスターさんの提案で刺青さしてみましたけど、表現が難しいですね…
まだまだこれじゃボディペイント…

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