屈辱の朝朝が来た。
もう永遠に太陽が昇ることなんかないと思っていた。
でも、昨日と変わらず、朝はやってきた。
…身体のあちこちがずきずきと痛む。
特に、縛られていた腕と…幾度も穢された股間の痛みが酷い。
まだ何か挟まっているかのような違和感と、かさかさと乾いてひきつれる気色の悪い感触。
その痛みが、昨夜の悪夢のような出来事が現実なのだと私に告げる。
「…起きたか?」
男の声がする。
目を開くと、見慣れぬ部屋のベッドの上。
男の身体に寄り添うように横たわっている自分。
しばらくして、ようやく父の部屋のベッドにいるのだとわかる。
広間で犯された後、気を失っている間に連れてこられたらしい。
「気分はどうだ?…まあ、いい気分ではないだろうが。」
男が尋ねてくる。
わかっているくらいなら聞かなければいいのに…
「その通り…最悪よ…!」
精一杯の憎しみとともに吐き捨てる。
「…そのうち慣れるさ…慣れた方が楽だぞ?」
言いながら強い力で抱き寄せられる。
「く…ぅ!!」
抵抗しても全然無駄だった。
唇が無理やり塞がれる。
嫌がって逃れようとする頭を押さえ付けられ、長く、長く、深く深く…
「本当はこのまま可愛がってやりたいが、俺も忙しいからな…」
唇を離した後、男が手早く身仕度を整える。
それを屈辱に身を震わせながら見ているだけの私。
「…変な気だけは起こすなよ?」
出て行きかけて、戸口で振り返る。
「起こしたら、どうなるっていうのよ!?」
半ば自棄気味に聞き返す。
「昨夜言ったことが冗談だと思うなよ?俺の命令一つで、もうこの国はどうにでも出来るんだからな。」
男が冷たい声で答える。
その言葉の実現を阻む力はこの国には残されてなどいない。
「…人でなし…」
民の生命を人質に取られている以上、私にはもう拒むことなど出来ない。
それが王族に生まれた者の責任なのだろう。
「そうだ、お前は人でなしのモノになったんだ。」
私にその事実を刻みつけるように、強い調子で男が言う。
何も言いかえせず、私は涙の浮いた目で男を睨みつけることしかできなかった。
「…まあ、いろいろと用意してあるから、楽しみにしていろ。」
そして、男は私を置いて部屋を出ていった。
いったいこの先、何が待ち受けているのか…
不安で胸が一杯になる。
ただ一つ確かなことは、昨日までの自分にはもう戻れないということだけだった。
私は、ただ泣くことしかできなかった。


スファーナ姫第15幕 悪夢の一夜が明けて
もっと憔悴した感じで描ければいいのですけど…

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