俺はふてくされていた。
杖術を師範であった爺さんからみっちり仕込まれ、自分でも大分上達していると思っていた。
もちろん年頃になり、女郎買いなどの遊びも覚えたが、稽古は怠ったことはない。
それなのに、女郎買いがばれたことで爺さんに手ひどく打ちのめされた。
さんざんに俺の未熟を責めた爺さんは、俺に、自分に勝つまで女郎買いは許さないと言い放った。
それから一月以上、女を見ることすら許されず、俺はしごかれ続けていた。
しごかれてしごかれて、いろいろな欲求が満たされない毎日にとうとう俺の忍耐も切れた。
同情してくれていた下男の手引きでこっそりと家を抜け出し、女郎屋に向かって足取りも軽く俺は走っていた。
もちろん杖は手放さなかったが…

「む?」
築地の角の向こうから太刀のぶつかる音が聞こえる。
「…」
息を潜めて築地に寄りかかり、そっと様子をうかがうと、侍と、前髪をたてている若侍が抜きあっている。
最近、侍を狙う辻斬りが出没していると噂だった。
ひょっとしたら眼前にいるどちらかがそれかもしれないと、息を殺して見守る。
「…っ!」
若侍の太刀さばきは尋常ならぬものだった。
相手もなかなかに「使う」男ではあったが、若侍の太刀筋は難剣というにふさわしいものだった。
「ぐ…」
脚を薙がれ、体を崩した男に翻った刀が振り下ろされ、勝敗は決した。
返り血を浴び、血刀を下げたまま肩を上げ下げしている若侍。
どちらが辻斬りだったにせよ、面倒事は嫌いだ。
この場を立ち去ろうと築地から身を離したとたん、俺は失敗した。
逆上せていたのか、足下の枯れ枝を踏み折っていた。
そっと離れていれば見つかることはなかったものを、己のうかつさが呪われた。

「ふ、ふふ…見たな。」
ゆらりと振り向いた目の色が尋常ではない。
顔が上気し、息も荒い。
「貴様も、今日の獲物か。」
どうやら、こちらが辻斬りだったらしい。
「生かしては、帰さぬ。」
見ると、袴が汚れている。
恐怖で失禁したにしては濡れ方が少ない。
それに、表情に恐怖ではなく危険な恍惚な張り付いている。
「使うのだろう…貴様。」
舌を伸ばして、顔についた返り血を舐め取る。
涎でてらりと光った舌がぬらりと動くのを見て、今まで感じていた違和感が吹き飛んだ。
「抜け…!」
この若侍は、女だ。
それも、おそらくは、命のやりとりをする、人を切るという所行に、あり得ない女としての快楽を感じているのだ。
「やむを、得ないか…」
無駄な争いは好きではない。
さらに、こんな女の辻斬りなどと戦う気はさらさらなかった。
だが、この手合いとこういうことになって逃れられようわけはなかった。
全ては己の未熟故。
「杖か。」
太刀を構え、娘が言った。



いっちゃってる剣術娘さん〜
辻斬りして股間を濡らしてるというもう手遅れの子ですw
おつむの中身は壊れかけてても、お身体は大事な場所も含めてぴかぴかの新品なので、
うまいこと成敗できればこの後いろいろと使い道がw
ということで気が向いたらシリーズになるかも。

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