「よくぞ姫を取り戻してくれた。何なりと褒美を取らそう!」
玉座の上から、日焼けした肌の少年に王が語りかける。
「俺、金、名誉、不自由、ない。」
片言で少年が言葉を返す。
少年は、辺境の蛮族の族長の息子だった。
「困る、助ける、あたりまえ。」
この国と緊張状態にある隣国の手の者が、交渉を有利に進めようといまだ幼いこの国の姫を誘拐した。
その大事件を、彼の部族が姫を奪還したことで解決したのだった。
「何かないのか?」
話のわからない蛮族だとうんざりした顔の王。
「…な、ならパトリシア姫さま、欲しい。」
だいぶ迷ったあげく、顔を真っ赤に染めて少年が姫の名前を言う。
「む!」
顔色を変える王。
王に近づく大臣。
何事か小声で耳打ちし、それにうなづく王。
「ふむ、そなたの願いはわかった。しかし、パトリシアはまだまだ子供、成長するまで待ってもらえまいか。」
満面の喜びを顔に浮かべる少年。
苦々しげにそれを見つめる王。

約束の時は10年後、姫が16になった時。
その間、少年は姫を待ち続けることが条件だった。

「…これは?」
パトリシア姫の従姉妹にあたる少女が王に尋ねる。
質素だが十分に美しい宝飾品と、たどたどしい文字で綴られた手紙。
「くれてやる。手紙は焼いておけ。」
王が吐き捨てるように言う。
「…今年も、あの方から贈り物が届いたのですね。」
少年から毎年姫の誕生日に届く贈り物。
毎年、姫の目に触れることなく従姉妹の少女に渡されるのが慣例。
『拝啓、パトリシア姫
 いっしょうけんめい勉強したけど、やっぱり字を書くのはにがてです…
 あと1年でまた会えると思うと、どきどきして眠れません。』
「…」
手紙を読む度に胸が締めつけられる思いの従姉妹。
「わかっているな?お前はパトリシアの代わりだ。」
王に大臣がささやいた言葉。
父母を早くに亡くした姫の従姉妹をパトリシア姫の替え玉にするという策略。
所詮茶番劇、すぐに正体はバレるだろうが、その程度のことは王にとってどうでもよかった。
王にとって蛮族の1つや2つ大したことはないのであるから。

そして、少年にとって待望の日がやってくる。
「お待ち、してた、パトリシア姫。」
美々しい行列で、少年の部族の城に到着する花嫁の一行。
広間の奥で花嫁を迎える、成長した少年。
その凛々しい出で立ちと満面の喜びの表情を見た偽花嫁の胸が痛む。
喜べないまま結婚式も宴も終わり、新郎となった青年と2人きりの時間が訪れる。
「…ゆ、夢、みたい…」
酒のせいだけではなく紅潮した顔の青年。
「ほら、ここ、姫、引っかいたとこ。」
首の脇に小さく残る傷痕。
「怖がって、姫、暴れたから。」
照れながら青年がいう。
もう、偽花嫁は耐えられなかった。
「ほ、本当のことを、言わせてください!」
少女は青年に何もかもを打ち明けていた。
あっけにとられて聞いている青年。
「…そ、か…辛かったな、ごめんな、俺のせいで。」
少女が話し終えて、謝りながら泣きじゃくるのをなだめる青年。
「疑ってた、でも、信じたかった。」
青年が言う。
「結局、俺、頭悪いからだまされた。」
青年の達観したかのような言葉を聞いて、一層激しく少女が泣く。
「泣く、よくない。俺、思い、遂げる。」
驚いて顔を上げる少女。
その目をまっすぐ見つめる青年。
「ほんとはパトリシア姫にひどいことしたくない、でも、気持ち、治まらない。」
青年の目の奥に、どうしようもない暗い炎が灯っていた。
「…あなたにだけは覚えててほしい、俺、姫のこと、本当に好きだったこと。」
少女は青年を止められなかった。

「いやああああぁぁっ!」
花のように美しい姫君は、離宮の庭を散歩している最中に何者かにさらわれた。
すぐに捜索が出されたが、夜が更けても離宮で待つ王の元に何の知らせもなかった。

いたい…いたいよぅ…「ぁう…」
いらいらと待つ王の耳に、愛娘のため息にも似た呟きが屋外から届く。
「パトリシア!」
急いで窓辺に駆け寄る王。
「ぅ…」
王がそこで見たものは、幼児が小用を足す時のような格好で青年に抱えあげられた姫君の姿。
体を覆っているはずのドレスはどこにもなく、月明かりにほの白く裸身が浮かぶ。
ぬぢゃり…
音まで聞こえるような生々しさで、姫君の股間の桜色の粘膜から、凶悪なオスの器官が押し出され、零れ落ちる。
「あぁ…ぱぱ…まま…」
呟く少女の股間から、姫自身の鮮血と青年の白い液体がどろどろと溢れ出し、地面へと滴り落ちる。
「パトリシア、俺のモノ、一生、離さない!」
そう言い放ち、姫君を抱えたまま一散に走り出す青年。
自失から立ち直り、愛娘を無残に奪った青年を兵士達に追わせる王。
それから、パトリシア姫の姿を見たものは誰もいない…


ということでシリアス系で攻めてみました。
凌辱中のシーンもそのうち描くかもです。

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