女教師 投稿者:でんべえ

 それは、湯島香夏子にとって突発――としか言いようのないできごとだった。
 香夏子は某県立高校において化学の教師を勤める女だが、三十になる今になっても、男との付き合いはない。
 結婚どころか、男とデートをした経験さえない。
 キスも、SEXも身経験の、処女なのである。
 香夏子は決して醜女ではない。
 むしろ、顔立ちだけなら美人といっても良いだろう。
 しかしその気性は実に気難しく、女性的な柔らかさというものは皆無である。
 化粧けも少なく、清潔感はあるが、その服装は地味で堅い。
 度のうすい眼鏡の似合う、硬質なインテリという風貌である。
 常に眉に皺を寄せて威風堂々と校内を歩く彼女は、生徒からは、
 「鬼婆」
 などと揶揄され、教師の間でも、
 「石頭の女」
 として敬遠されがちであった。
 これはもう昔からのことで、香夏子という女は少女の頃から堅苦しく、面白みがなく、笑うということをほとんどしない人間だったのである。

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 何故このように育ったのかというと、これは香夏子の祖父の影響であるらしい。
 香夏子はおじいちゃん子であり、両親よりもむしろ祖父に懐いていた。
 その祖父は有名大学で教鞭をとった教授であり、謹厳実直を絵に描いたような人物であった。
 そんな祖父を尊敬していたせいであろうか。
 香夏子は祖父と同じく、堅物に育ったのである。
 子供の頃は真面目な良い子ということで評判も良かったのだが、三十になると親や親戚も、
 「そろそろ良い人の一人くらいいないのか?」
 と口うるさくなってきた。
 そうは言っても、香夏子には男女間の機微や付き合いというものはまるでわからない。
 付き合い方どころか、出会い方さえもわからないのだ。
 見合いなども幾度かしたが、いずれも相手が香夏子の気性に閉口して流れてしまった。
 ここまでくると香夏子自身も意地になってきて、
 「ふん。男がどうの、結婚がどうの……私にはそんなもの、関係ない」
 かえってそうしたものを遠ざけるようになった。
 これでますます縁がなくなってしまっている。

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 そんな女である香夏子が、だ……。
 放課後、人のいなくなった校舎。
 化学室の、物置において、
 「や、やめて……。やめなさい……!」
 と、苦しげな息の下で必死に言っている。
 一体どういう状況なのかというと、若い男が荒い息で香夏子を押し倒しているのだ。
 その若い男は、瀬野義樹という。
 香夏子の同僚であり、香夏子よりも五つも年下の若い生物教師である。
 背丈は低く童顔で、実際の年齢よりもずっと若く見えるためか、
 「ぼっちゃん」
 の渾名を生徒からつけられている。
 性格も温順といえば聞こえはよいが、ようは気が小さく、ワルと呼ばれるような少年達からはなめられきっているような青年である。
 香夏子は己の置かれている状況が全く信じられずにいた。
 その気の弱いはずの後輩が、自分を押し倒し、衣服をはごうとしている。
 つまりは、レイプされようとしているのだ。

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 「やめて、やめなさい」
 きつい口調で言うが、
 「いやです……」
 と、瀬野は必死の面持ちでそれを跳ね返してしまう。
 いつもならば少しばかりきつい調子で言えば、たちまちに小さくなってしまうような男が、である。
 (まさか、まさか、そんな……)
 日頃からきつい態度をとっているので、好かれているとは思っていなかった。
 むしろ嫌われているだろうとは考えてはいたが、まさか――
 (レイプされるなんて……)
 まさかそこまで憎まれているなどとは、予想し得ないことであった。
 服のボタンが引き千切られ、地味なブラジャーが露出し、そこに若く狂暴な息吹がかかってくる。
 ぞっとする反面、得体の知れない熱い何かが、香夏子の中から湧き上がってくる。
 「ああ……」
 目をつぶり、香夏子は小さく声をあげた。
 すぐにブラジャーも剥ぎ取られ、意外に豊かな二つの隆起が現われた。
 それに、若い手が触れる。

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 強い力で乳房が握られた。
 「痛っ……」
 香夏子が思わず眉を寄せる。
 と、瀬野がその顔を乳房にうずめた。
 「ゆ、湯島先生……」
 泣きそうな瀬野のつぶやきが香夏子の耳に入った。
 (ずるい)
 と、香夏子は思った。
 これが、これから女を犯そうという男の声か。
 その狂暴な行為にそぐわぬ、ひどく頼りなげな声である。
 しかし、何がずるいのか。
 それはつまり、
 (これでは、怨めなくなる……)
 ということか?
 そうこうするうちに、瀬野は香夏子の乳房に口を当てた。
 唇の感触が、ひどく熱い。
 それが乳頭に移動するのはすぐ後のことだった。
 ちゅうちゅうと音をたてて、乳房を吸われる。

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 「ひぃ……!」
 香夏子は悲鳴をあげかけ、思わず自分の口を押さえた。
 瀬野の指が不器用な動きで香夏子の胸を弄び、その口がまるで菓子でもなめるように、なめしゃべる。
 その感触に、香夏子は自分が悪い夢でも見ているような気分になってきた。
 そして、瀬野の手が乳房が離れた――と思った矢先、
 「あ……」
 香夏子は自分の下着が脱がされかけていることに気がついた。
 「やめて、お願い……」
 普段の香夏子からまず出てこない、か細い声で懇願する。
 「せ、せ、せ、責任は、とり、ますから……」
 瀬野は回らぬ口からそう言いつつ、ついに下着を脱がしてしまう。
 「い、いやあ……!」
 あまりの恥ずかしさに、香夏子はまるで十代の少女のような悲鳴をあげた。
 強い力で股が割り開かれ、そこに瀬野の顔がうずまった。
 「あう……!」
 「湯島先生、薄いんですね……」

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 香夏子の陰部を見ながら、瀬野はそんなことを言う。
 「そ、そんなこと……」
 「すごく、きれいです……」
 感動のまじったはっきりとした声で、瀬野は言った。
 かと思うと、いきなり香夏子の陰部に舌を這わせる。
 「……!」
 あまりのことに香夏子は声も出ない。
 ただ顔を押さえて、首を振るばかりであった。
 ぴちゃぴちゃ、という淫らな音と、瀬野の息遣いだけが耳に入る。
 それが余計に香夏子の羞恥心をいたぶるのだ。
 「ああ、もう、やめて……」
 そう言うが、瀬野は答えず、一際強い勢いで、香夏子の陰部を吸った。
 「ああああ……」
 「……湯島先生……」
 「え……?」
 ハッとすると、陰部に唇とも舌ととも違う感触があった。
 熱く何かおそろしげなもの。

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 それの正体に気がついた時、香夏子に陰部に鋭い痛みが走った。
 「い、いやあああああ!!!」
 まるで、焼け火箸でもつきこまれたようであった。
 瀬野は香夏子の太ももをつかみ、狂ったように腰を打ちつけてくる。
 その動作がさらに香夏子の痛みを増していく。
 「やめて、もう、やめてえ! 抜いてえ!」
 「無理、です……」
 言いながら、瀬野は香夏子の胸に顔をうずめ、その乳房に舌をはわした。
 乳首を吸い、しゃぶりながら瀬野は恐ろしい勢いでピストン運動を繰り返す。
 「痛い、痛い……本当に痛いの……」
 「湯島先生の中……すごくあったかくて……気持ちいいです……」
 瀬野は恍惚とした声で言う。
 一体どれほど時間が過ぎたのか。
 不意に、
 「もう、出ます……」
 瀬野がせっぱつまった声をあげた。

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 「……ああ、だ、駄目よ! 中は、中には出さないで……! 許して……!」
 その言葉の意味を理解して、香夏子は瀬野の顔を見た。
 瀬野の顔は恐ろしいまでに真剣で、たくましげな表情であった。
 「湯島せんせ……香夏子さん……」
 ファーストネームを呼ばれ、香夏子は一瞬かたまった。
 そこに瀬野の顔が近づく。
 「好きです。ずっと、前から……」
 「え……」
 囁きの後、唇が奪われた。
 瀬野の両腕が、香夏子を抱きすくめる。
 そして、香夏子の中に熱い塊が吐き出された。
 それはびゅくびゅくと音を立てながら、香夏子の内部を侵食していくようだった。
 全身を包む熱と痛みの中、香夏子は我知らずのうちに瀬野の身体を抱きしめていた。

 「ひどいわ……こんな」
 行為が終わった後、香夏子は瀬野の腕の中で切なげな声でそう言った。
 「私、初めてだったのよ……」
 「ごめんなさい……でも、僕は本当に、あなたのことが……」
 「信じられないわ、そんな……」
 「嘘じゃないです……。僕はずっと前から、あなたを見てました。ですから……」
 瀬野はきっとして香夏子を見ながら、
 「僕と、結婚してください」
 その言葉に、香夏子の瞳からひとしずくの涙が流れた。

 香夏子が両親に、瀬野義樹を婚約者として紹介したのは、それから一ヶ月後のことである。



でんべえさんいらっしゃいませ〜
女教師モノきましたね!
カタブツ女教師+お姉さん処女でかなりドキドキものです。
実はこう言うのが結構ツボだったりするので、たまりませんね〜
投稿ありがとうございました!

ぎゃらり〜へ