永久と紅い産湯 投稿者:ドナテロ

「かか様、喜兵衛様のお子は産まれてもあの人には渡しとうないのです。この子は人を殺める人形としてしか産まれません。いっそなら私の子供として郷で育てたいのです」
「しかし、とわよお前はあの喜兵衛様とのお子を孕んだのだぞ。おまえは果報者ではないのかね?」
「果報者ではありません!あの人は我が子を兵器にしてしまう大蛇です!」
小さな小屋の中で老女と臨月の若い女性が話している。どうやら親子だ。
すると若い女が帯を解いて全裸になった。女の身体には呪詛の紋章が臍を中心に渦を巻いていた。
「と、とわ!これは?!」
「私が殺め人形の素だという証です。」
とわはそう話しながら、喜兵衛との情事を思い出していた。

--------------------------------------------------------------------------------

およそ2年前のことである。とわが武田家の雇われ侍女として奉公仕って約半年。彼女は御前さまの身の回りの世話をしていた時、突然お方様の旦那様が入ってきた。
「おぉ・・・おさや。達者だったか?それと菊や、父上じゃぞ」
何の変哲も無い会話を四半時ほどなされていた。
「親方様。」
「何じゃ?喜兵衛」
「奥方様の後ろの侍女は誰ですか?あの女子はあれを生成するのに適正でございますよ」
お方様の部屋を出てひそひそと話し合う家来と主人は何か途轍もない事を企画していた。
「ほぅ、あれか。あれは百姓のとわという16の娘じゃ・・・おこと、わしと同じ考えか?」
「はい。あの娘には強い殺め人形ができます。それも完全な・・・」
「で、肝心の種馬には誰をだ?」
「私が・・・」
「ほぅ・・・おことがなるのか。さぞかし智勇兼備の人形を作れるのぅ」
「では、今宵夜這いでもします・・・」
人でなしの計画は序章を迎えた。この頭首はたくさんの「人形」を作り出しては戦場で使い、天下を取りの駒としてしか見なかった。

--------------------------------------------------------------------------------

夜を迎えた。その日は新月であり最高の条件であった。
…きしぃっ、きしっ…
忍び足でも古い館のせいか軋む音がする。喜兵衛の通りすがった褥からも馬鍬っている音や喘ぎ声が微かにする。皆、美しい侍女に子種を孕ませて「人形」を作らせる任務を遂行している「家臣」や「元小姓」の男たちである。
「あ、あぁん・・・奥まできてぇ〜・・・きもちいいでしゅ〜」
喘がされている侍女たちには気の毒なんて思わない。「人形」を取り出したら役目は終わるからだ。
「・・・此処か・・・」
喜兵衛は躊躇も無くとわの褥にはいった。喜兵衛には妻であり、これも「人形」を産んだ山の手という女がいる。彼には関係ない話だ。


「さて、どういただこうか・・・まずはこれを使いつつ湿らすか」
と言いつつ秘部に膏薬を塗りこめていた。
「初物ゆえに、少し優しくしよう。次は少々激しく。最後にわし無しでは過ごせぬように・・・」
そう独り言を言いながらも無抵抗のとわに口吸いをした。
「ん・・・んん・・」
「とわ」
「あ、喜兵衛様・・・」
「そちが欲しい・・・愛している」
「あ、あぁっ・・・私も、愛しています。もっと・・・あぁぁ」
口と掌の愛撫は甘く甘美ではあるが、表情は氷のようであった。
「喜兵衛様。花弁が濡れて厭らしゅうございます。」
「どうして欲しい?」
「あ、そ、その逞しい指で、とわの蜜壺に出し入れしてください増し」
「いい子だ」
「あぁっ!あっ・・・すごいぃぃ!!飛びそう!あ、あぁん」
厭らしい水音と喜兵衛の指裁きでとわを見事に昇天させる。喜兵衛が指の数を増やしていくにつれ、とわから腰を振っていた。
「はぁ、はぁ・・・まだ疼いております。もっと気持ちいいことをしてください」
「なら、褒美を与えよう。これを御主にいれてやろう」
「はい・・・」
「さ、これがほしいか?」
「はい。とわの厭らしいところに、喜兵衛様の魔羅を・・・入れて下さいまし」

--------------------------------------------------------------------------------

「あ、あぁぁっ!!大きくて硬うござりまする!」
喜兵衛の塗った薬のせいか、とわが喜兵衛に惚れているかは定かではないが処女を奪ったときの痛みは彼女からは感じられなかった。だが彼にはそれすらも関係ない。
「あ、あっ・・・ねぇ、喜兵衛様・・・私は貴方に一目惚れいたしておりました。・・・んっ、はぁ・・・あぁっ!でも何故そんなに冷たい目をなさっているのですか?」
「そういう風に見えるか?わしは御主とひとつになれて、嬉しいのに・・・」
「はぁ・・・はぁ・・・なら、そう仰るならば・・・あ、あっ…私だけに貴方のお子を産ませてくださいませ。そうするなら、とわはどんな卑猥なことでもしましょうぞ・・・あ、あ!!」
「なら、わしを御主の花弁で気持ちよくさせろ。わしは何もせぬぞ。」
「はいぃっ!!」
喜兵衛はとわから猛々しい雄をずっぽりと抜いた後、仰向けに寝そべった。とわは雄を口で少しだけ舐めた後に、ずぶりとそれに腰を沈めた。
「はぁ、はぁ、喜兵衛様・・・気持ちいいですか?」
「いやいや、まだだ。もっと腰を振らぬか?もしくは股を開いてはどうか?」
「こ、こうでございまするか?」
「あぁ、そう・・・その調子だ」
「あぁ・・・あ!あんっ、ああぁっ!!」
「いい子だ。そらっご褒美だたんと受け取れ!」
「あ、ああ・・・熱いのが流れ込んでおりまする・・・あぁぁ」

--------------------------------------------------------------------------------

あの日から考えると私は馬鹿な事をしたとしか思えなかった。
喜兵衛様に解任したことを告げた後にこの忌々しい呪印と共にこの子を授かっただけだ。私は館を飛び出して今の小屋に戻ってきた。
私は只この子には「人形」として生きて欲しくない。この子は郷で平和に暮らして、父を知らずに生きて欲しい。
私はそれだけを願っている。


「とわ、とわ!産まれたぞ、よかった・・・女子じゃ!」
「あ、あぁ・・・よかった。これなら一緒に暮らせ・・・」
ぎゃぁぁぁぁ!!
「て・・・てて様!?与平!?兄様!?」
「に・・・逃げろ!お侍が・・・ゴボッ!!」
「ひ・・・ひぃっ」
「・・・おぉ、でかしたぞ。とわ・・・」
「き・・・喜兵衛様?」
気を失った母を足で退け、父や兄弟の血が滴る槍を携えたまま返り血も拭わずに彼は、目の前にいた。
「ほぉ、これが我が子。そして『最高の人形』か・・・」
「か・・・返して、私の赤ちゃん返して!」
彼の腕に我が子が血の付いた喜兵衛の腕に抱かれていた。
「そうじゃ。御主は弁丸と名づけよう。最高の人形に・・・」
この男にはこの子が『男』に見えてしまうのか?そんな錯覚が私を襲った。私はそんな錯覚と共に連れ去られる我が子の名前を呼びながら這って追いかけていた。
「ゆい!唯!!貴方は私の子!だから、いくら時間が経っても私は待っている!お願いだから帰っておいで!!唯!」
とわは泣きじゃくりながら這って叫んでいた。この血まみれの産屋とあたり一面の「彼岸花」が氷雨に濡れていた・・・


--------------------------------------------------------------------------------

「小姓」・・・主人の身の回りの世話や、戦場では「アレ」をしていた少年たちを指す。森蘭丸が特に有名。
「四半時」・・・現在の時間間隔では約30分ぐらい。
「褥」・・・いわゆる寝室のこと。別名「閨」


ドナテロさんの4作目は時代物ですね。
長編小説の序章みたいな感じで、この後も気になるような感じですなぁ〜
実際にも、こういう感じの集団はいたかもしれないですね。
村娘をさらったりしては子供を産ませて武闘集団の維持をするとか…
いろいろ話のネタにできそうな感じです。
ありがとうございました〜!

ぎゃらり〜へ